猫になったら
猫になったら

猫になったら

昼下がり、
静かな部屋に陽がゆるやかに射しこむ。
むらさきのソファは、まるで小さな雲のよう。
その上で、ぼくはただ――眠っていた。

もう、急ぐこともない。
もう、比べることもない。

今日という日のなかに、
すべての意味がある。

窓の外で鳥が鳴き、
時計の音が遠くで刻む。

それすらも、ぼくをせかすことはできない。

ごろり、ごろり。
息をするだけで、
世界がやさしくなる気がする。

――ああ、
ぐうたら、ぐうたら。

自由で、美しい。